稲穂の波
- Date
- 2006-09-14 (木)
- Category
- 今日の逸品
能代で打ち合わせを終えて帰る途中、少しだけ下ろした窓から懐かしい匂いが入ってきた。乾いた干草のような稲穂の匂いだ。見れば一帯に広がる田んぼが黄金色に輝いている。
そういえば実家の裏手に周辺の農家が管理する田んぼがいくつもあって、季節ごとに違う顔を見せていた。18のある秋の日、久しぶりに帰った実家の自室から外を眺めていると、突然、強風が吹き始めて稲穂の波が大きくうねりだした。まだ感受性が瑞々しかった頃だから、その美しさに感動して、うっかり泣きそうになったほどだ。話題の総理候補ではないけれど、「美しい日本」を確かに見たのだと思う。
と思ったあたりで不意に大事なことを思い出した。午後から次女の合唱コンクールが県民会館で開催されていて、間に合えば観に行くと伝えてあったのだ。稲穂も驚く台風のごとく車を飛ばして、6年連続で情けないが次女の出番寸前で滑り込み。
二百十日から13日目、風に乗ってコウベを垂れずに済んだ。