後輩の「Step By Step」

Date
2007-05-29 (火)
Category
今日の逸品

5月25日、本荘のビルヘンで、画家・佐藤耽泥(たんでい)氏の13回忌に合わせて「風のパーティー」が開かれた。本荘市(現・由利本荘市)出身の耽泥氏は帰郷の際、埼玉出身の妻・初美さんにこう言った。
「本荘は鳥海山という素晴らしい山が間近に見えるんだ。この山は活火山だが噴火は絶対しない。海岸沿いの街だから雪の心配もいらないぞ」
ところが帰郷した1973(昭和48)年の本荘は記録的な大豪雪に見舞われ、翌1974(昭和49)年に鳥海山はナント173年ぶりに噴火した。ある意味、逆予言である。慣れない雪かきに悪戦苦闘の初美さんは思った。
「最初に最悪を経験するって良いわあ」
それから20年後、アートコミュニケーションホール「ビルヘン」と、そこに集まる大勢の仲間たちを残して耽泥氏は逝ってしまったわけだが、私は残念ながらビルヘンの壁にかけてある遺影でしかお目にかかったことがない。同様の若手と、実際に故人と酒を酌みかわし、芸術と音楽と文学そして浮世のあれこれを語り合った方々が集まった。 
その中に若きジャズトランペット奏者の佐々木大輔氏も加わって、「枯葉」「A列車で行こう」「聖者の行進」など数曲を披露してくれた。このほど初の自主制作CD「Step By Step」を発売したばかりだという。居合わせたオジサン、オバサンたちは、由利本荘市出身の子は他人の子でも自分の子、母校が違っても我が後輩、年齢は離れていてもオトモダチ、という具合に、こぞって彼のデビューアルバムを買わせてもらったのである。今どき夢を描けるなんて稀有な若者だ、応援してやろうじゃないか、と遺影の耽泥氏が笑ったような…。2007_0526佐々木大輔CD0019.JPG 
↑ジャケットに私の名前入りでサインしてもらったため、開いた状態でアップ

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